4 なまはげぜん

「なまはげさん、 まんず すわって 酒っこ飲んでくだんしぇ。」
お父は、 家のあるじらしく  落ち着いたものです。

くるったようにあばれていたなまはげが うそのように静かになりました。
そして、 ぜんにすわる前に
ドシ、 ドシ、 ドシ、 ドシ、 ドシ
今度は五回、 四股しこをふみます。

障子しょうじのすきから、 息をのんで のぞき見します。

「おめでとうございます。」
「おめでとうございます。」
「なんとふけえ雪の中 容易よういでねがったすべ。
今年もてけで いがったすなあ。」

ぼくの家でとれたものを なまはげに ふるまいます。
なまはげぜんには、 尾頭おかしらつきの魚 タコなどのさしみ しめ 紅白こうはくなます ごぼうのでんぶ 黒豆くろまめ ハタハタのすし などが ならびます。
ハタハタのすしは、 ぼくのばあちゃんの じまんの一品いっぴんです。

膳

なまはげは お酒を飲むだけで、 ぜん料理りょうりには手をつけないのが ならわしです。
お酒は一献いっこん、 さらに一献いっこん そして、 三度目のさかずきは 口をつけるだけで、 そのまま おぜんにおいていきます。
このさかずきは、 お神酒みきとなるのです。
なまはげが帰ったあとに、 ぼくたち家族は みんなで飲み回します。

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